ディレクション(Direction)について解説!その3【アレクサンダーテクニークを学ぶ】

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今回も引き続き、ディレクション(Direction)について説明していきます。
※お読みでない方は前回もご覧ください。

前回、ディレクションは「ことば」で表されることが多いが、ただそれを機械的に読み上げても意味がないと言いました。
それでは、どうすれば良いのかを具体的に説明します。

ディレクションは以下の4点で構成されていると考えています。

(1)身体各部位の位置関係の認識

(2)自分と周りの環境との方向的関係性を思うこと

(3)身体構造上有利(機能的)になる動きの方向性を思うこと

(4)上記3点に向けて、心理面もアクティブになること

 

それでは1~4について詳しく説明していきます。

 

(1) 身体各部位の位置関係の認識とは、身体それぞれの位置や距離を認識することです。

身体のどこの部分がどこにつながっているか、そしてその距離やサイズ、空間的な位置関係を思うのです。

 

これらは主にボディ・マッピング固有感覚に関係しています。
※詳しく説明すると長くなるので簡単にします。

 

ボディ・マッピングとは頭の中にある自分の体の地図のようなものです。
言い換えると、自分がどのように体の各部位を捉えているかということです。

人間の体は大きく分けると、頭、首、胴体、手(腕)、足(脚)からなっていることはご存知だと思います。
しかし、ほとんどの方がその骨、関節、筋肉などの位置や働きを正確に理解していないのではないでしょうか。

この頭の中にあるボディ・マッピングと実際の構造とのずれが、動きづらさや活動の妨げになっていることがしばしばあります。

このボディ・マッピングは修正することが可能なため、より正確になると身体各部位のつながりや位置、距離関係も明確になります。

 

そして、この情報を把握して教えてくれるのが固有感覚です。

固有感覚とは、筋肉、腱、関節にある器官が身体の位置感や運動の方向やスピードなどを感知する感覚です。

たとえば、目をつぶって片手を背中の後ろや頭の上に移動させてみてください。

 

手が見えなくても、それがどこにあるか、どのくらいのスピードで動いたか感覚でわかりましたよね?

 

もう一つ例を挙げてみます。

右足の小指がどこにあるか思い出してみてください。

 

おそらく、この文章を読むまでは忘れていたと思いますが、思った瞬間にどこにあるか分かったと思います。(動かさなくても感じられますよね)

 

これが固有感覚です。

つまり、思うだけで身体各部位の位置や距離がわかるこの能力を全身に使うのです。(ただ思うだけでOKです!)
そして、それはボディ・マッピングが正確であれば精度も高くなります。

 

(2) 自分と周りの環境との方向的関係性を思うこととは、自分と周りの環境との物理的な方向を明確にしておくという意味です。

たとえば、平面に立っている状態であれば、体は重力によって足を通して下方向に向かっており、逆に地面は垂直方向に体を支えてくれています。

床に座っていれば、体のかたちや接地している場所も直立時とは違います。

イスに座っている時、壁によりかかっている時、道具を使って何かする時など、状況によってその関係性は変わってきます。
私たちは、常に自分以外の様々なものと関係して生きています。

その関係性に対する考えがあるかないか、またはどのように思っているかが身体全体に影響しています。

 

たとえば、通常座ってイスの背もたれに寄りかかる時に、ただ寄りかかるという考え以外は持っていないのではないでしょうか?(もしくは無意識ですよね)

それを意識的に、「からだの後ろにある背もたれに自分が向かっており、同時に背もたれが自分を前方向にサポートしてくれている(押し返している)
※サポートをより思うことが重要です。

というように、考え方を変えると感覚が変わるのではないでしょうか。(多くの人は背もたれに背中を押し付けるようにしています。)

このように、自分と周囲との関係性が明確になると自分の在り方も変化してくるのです。(難しく考える必要はなく、単純なアイディアを思うだけでOKです!)

 

(3) 身体構造上有利(機能的)になる動きの方向性とは、身体の本来持つ機能が発揮されるように構造の理に適った動きの方向を思うことです。

これは(1)で説明したボディ・マッピングとも深く関連しています。
そして、一般的にディレクションとはこの部分が強調されていることが多いと思います。

 

F.Mの「首を自由にすることで頭が前に上にいくことができ、そうすることで背中が長く広くなる」を例に見てみましょう。

彼は発声時に、頭を引き、喉をつぶすように下向きになっていたため、喉の機能を妨げ全身にも影響を与えるような使い方をしていました。

そこで、その状態(頭が後ろに下になっている)から頭が上に前に行くことで、バランスがとれ調和している状態になります。

気をつけていただきたいのは、頭が前に上にいくというのは、後ろに下になっている状態から見た相対的な方向であるということです。

つまり、頭が後ろに下になっていない状態で同じようにしてしまうと、頭を上に引っ張り上げたり、前に出し過ぎることになります。(これは本当に誤解しやすいところです)

ここから分かるように、自分が何をしているか観察し、気づきがあって有効になる考えなのです。(F.Mは三面鏡を使って自分を観察しました。)

また、動きの方向と言うと上や下など、一つのイメージになってしまうかもしれませんが、特定の方向ではなくどこへでも動ける自由な状態というのも、ある種の方向性です。

F.Mの例のように明らかに特定の方向へ習慣的に向かっている状態では、その逆を思うことは有効ですが、トレーニングをするにつれて変化していくと、いつも同じように思っていてはかえってやりすぎてしまうのです。

どこへでも動けることを思うことは、特定の方向へ偏らないからこそ、本来の身体機能が発揮しやすいということです。

これらは、ボディ・マッピングが明確になると、具体的な動きの方向や可能性がわかってくるため、より実行しやすくなります。
そして、自分を観察しつつ、状態に合わせて方向性の思い方を変化させていくことが大切になります。

 

(4) 上記3点に向けて、心理面もアクティブになるとは、本心からそれに取り組む意欲を持つということです。

これは、単純にこれまで説明した3つを実行する意志があるかということになります。

たとえば、「面倒だなー」、「とりあえずやろう」などのような後ろ向きだったり、あいまいな状態では、その考えが体にも影響します。

言い換えると、上記3つを思う代わりに別のことを思っているので、それが方向性として体にも反映します。

機械的にただ「ことば」を言っても意味がないのはこのためです。

 

以上がディレクションの説明になります。

 

今までの3つの投稿を総括すると、

 

ディレクションとは、意識的に自分を使って全体が協調的になるように意図する活動のことであり、主に「ことば」を使って行います。
声に出すこともたまにありますが、基本的には発音せずに思うだけです。

「ことば」とはある経験・知見に対する個人の総合的な思い(見解)を表すものであるため、自分に適したものを使います。

例)首を自由にすることで頭が前に上にいくことができ、そうすることで背中が長く広くなる

そして「ことば」は真の思いを呼び起こすきっかけであり、その内容というのが、身体各部位の位置関係の認識、自分と周りの環境との方向的関係性を思い、身体構造上有利(機能的)になる動きの方向性を思うこと。そして同時に、心理面もそこに向けてアクティブになることです。

そしてこれらは、それまでの経験で培ってきたものを利用しており、訓練で洗練させ変化させていくことができます。

 

このように文章で表すと、とても複雑で難しくなってしまうのですが、実際のレッスンではシンプルに体験を通して伝えていきます。

今回は、ディレクションに関する情報があまり言語化されていなかったので、あえてこれまでの経験や知識を使って言葉にすることを試みた次第です。
※現時点(2017年)での、私的見解であることをご了承ください。

ディレクションとは何かだけで膨大な説明をしましたが、ディレクションに関連することや注意点がまだまだあります。長過ぎるのでそれは別でご紹介します(笑)

 

 

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